石部磯浜トンネル、横坑群


旧信越本線 群馬県横川駅〜長野県軽井沢駅間


その5

  


                  2017年8月訪問

 碓氷第二隧道の熊ノ平側からの再スタートで
す。
 この隧道の次に現れるのは、「C8」ですが、そ
の前にこんなものを発見しました。
 それは…
 これです。
 おおお…これはもしや…
 石です!石桁ですな!
 こんな所に石桁暗渠が遺されておりました。
 はい。内部は見事に石桁です。
 側壁も切石2段を使用しており、開業当時のも
のと考えても良いのではないでしょうか。
 
 で、明細録では
 無名「下水 2尺(0.62m)延長15m 石蓋」という
記述が想定ポイントに存在します。恐らくこれでは
ないかと。

 この地域では4尺を下回ると下水になるようで
す。※(C2)も下水の可能性がありますが、便宜
上暗渠にしております。
 で、石蓋も明細録ではこの辺で頻出しますが、
実際に見たのは初めてです。石桁のことだったん
ですね。この廃線跡では石桁はここでしか確認
できませんが、まだあるかもしれません。

名前どうしようか…


出典:国立国会図書館デジタルコレクション:鉄道線路各種明細録.第2編
実は明細録に答えが載っております。暗渠は
「Arch Culvertアーチカルバート」、開渠が「Open Cul
vertオープンカルバート」です。
 で、下水は…「Drainドレン」です。…ほおお…
私的になんかイメージとちょっと違います。

 とゆーことは、ここの下水は、

 
(D1)
 
碓氷第1ドレン
 2尺(約0.62m)
 延長15m 石蓋


 となりますな。
 この碓氷峠で新規発見されればドレンの数を
増やしていきます。

 ※明細録に掲載される碓氷峠の下水を通しで
番号付ければいいぢゃないか、という案もありま
すが、それだと(C1)(C2)の存在がややこしくな
るのでやめました。
 いやあ、石桁にどんだけ文字数増やすんだって
話ですwww
 
 前に進まないんでそろそろ…
 お!碓氷第三隧道が見えていますね。
 …その前に(C8)があるはずですが…
 ありました!こちらは上流側です。
 結構埋まってしまっております。

 
(C8)
 
碓氷第8カルバート
 8尺(約2.42m)
 煉化石アーチ
 明治25年6月竣功

 
です。
 大分お年を召しておられる感じが痛々しい…
 アーチはコンクリ補修を受けてます。巻厚は3層
の欠円アーチで笠石があります。
 碓氷第三隧道とのコラボです。
 本当に低いアーチですねえ…
 どのぐらいの深さがあったんでしょうか。

 因みに下流側は植生が濃くて覗けませんでし
た。
 はい、そんなこんなで、

 
(T3)
 
碓氷第三隧道
 延長245尺4寸(約74.4m)
 明治25年9月竣功


 比較的短い隧道ですな。
 おお、石積みです。
 第一隧道の横川側以来の石積み坑門が現れ
ました。法則が分からんな…

 巻厚は4層です。
 よく見ると胸壁(笠石と帯石の間)の石積みは
フランス積みです。いいですねえ。
 この馬蹄型のアーチ曲線とピタスター、そして
そこに挟まれる僅かな坑門部分の繋ぎが本当に
細かいですよねえ。一個一個形に合うように石を
成形していったんですよね。
 頭が下がります。
 ここもオール煉瓦が遺されています。
 素晴らしいですね!
 振り返りはもう鉄板です。
 モルタル補修が剥離して、往時の煉瓦が顔を
出しています。
 碓氷第三隧道の熊ノ平側にあっと言う間に
辿り着きます。
 そして早くも次の隧道が見えています。
 碓氷第三隧道の熊ノ平側坑口です。
 おお、この隧道は両側共に石積みでした。
 引きで一枚。
 うまく撮れてませんねえ。
 で、振り返ると次の隧道が。
 その手前に暗渠があります。そう、「C9」です。
 しかしここは…
 …はい、コンクリ桁になっております。
 明細録でももともと下水で、石蓋になっておりま
す。煉瓦アーチではなかったんですね。
 3連1尺10寸(10寸て、1尺ぢゃないの???)
直角径間長1尺8寸、明治25年6月竣功です。
 3連の石蓋暗渠だったようです。
 そしてお次の隧道!

 
(T4)
 
碓氷第四隧道
 延長328尺11寸(約99.7m)
 明治25年9月竣功


 ここも11寸て表記です。329尺1寸ではないん
でしょうか。計算はこちらで行いました。
 何か理由があるんでしょうねえ。

 で、こちらも石造りですね!
 こちらも暖色ライトを付けて綺麗に整備されて
います。
 いい保存状態ですねえ。
 振り返り。
 第三隧道はすぐそこです。
 100m弱の隧道でも丁寧な造りの退避坑は完備
されています。
 第四隧道の熊ノ平側坑口。
 そしてまたまた次の隧道が見えています。
 ここら辺は短い隧道の連続ですな。
 碓氷第四隧道、熊ノ平側坑口…
 こっちは煉瓦積みです。

 本当に法則が良くわかりませんねえ。
しかし、 石積み、煉瓦積みの違いはありますが、
基本的に冠木門タイプの仕様は変わりません。
 第四隧道の引き。
 本当に一直線ですね。
 第五隧道がもう見えています。
 その手前に手摺が見えてますね。
 下流側から入ります。
 逆光で見づらいですが、かなりの補修が施され
ています。
 すんごい有様ですね…
 ここまでされてもアーチ環の煉瓦は遺してくれる
んですよね、有り難い事です。 
 内部アーチは肉厚のコンクリによって補修され
ているため、当時の径間より短くなっています。
 下流側です。
 まだ面影が活きていますね。


 (C10)
 
碓氷第10カルバート
 10尺(約3.03m)
 煉化石アーチ
 明治25年10月竣功
 巻厚は3層ですが、コンクリ巻き立ての際に1層
削っている可能性もあります。
 現地で測っておけばよかったですね〜
 今回は碓氷第二隧道熊ノ平側坑口から、碓氷
第10カルバートまでとなりました。
 次回は碓氷第五隧道、そして!日本最大のあ
の遺構が現れます。

 以降、 
その6 に続く!