石部磯浜トンネル、横坑群


旧信越本線 群馬県横川駅〜長野県軽井沢駅間


その10

  


                  2017年8月訪問

 熊ノ平駅から西、軽井沢までも隧道、橋梁は
わんさかあったわけですが、その大半が新線へ
転用され、コンクリトンネルになってしまっており
ます。
 熊ノ平駅から西、第11隧道から第15隧道まで
は新線に転用されてしまっておりますが…

 (T16)
 
碓氷第十六隧道
 870尺8寸(約263.88m)
 明治25年7月竣功


 この第16隧道と、次の第17隧道はルートから
外れ、廃化されて現存しております。
 この隧道も開口は西側のみで、東側は埋没し
ております。
 巻厚4層の煉瓦馬蹄型アーチ、笠石、ピラスタ
ーはあるものの、帯石がないため、シンプルな印
象は拭えません。
 坑門前に土砂が溜まり、内部は往時の路面を
保っているため、一段下がる形となっております
が、水没せず遺されています。
 ただ、靄がきついな…
 振り返り。
 枕木のようなもので柵をしていたようですが、
朽ち果てています。

 向こう側に第17隧道が見えていますな。
 ぐはあ ぶれぶれ… orz

 早朝から歩き倒しで、さすがに疲れがピーク
に…
 まともに撮り直す気力もなかったようです。
 そんなこんなで閉塞地点に到着。
 コンクリでみっちりと封鎖してあります。
 閉塞地点から振り返り。
 第16隧道、約264mですが、ほぼそのままの
延長が残っている印象です。
 帰り際に退避坑を確認。
 2層の半円アーチ、内部は素掘り状態です。
 戻ってきました。
 
 次は第17隧道…と、その前にこの両隧道の
隙間には、ヤツが残っております。
 これです。
 第16、17隧道の隙間に奇跡的に残存するカル
バート。
 その名も…
 (C13)
 
碓氷第14カルバート
 
10尺(約3.03m)
 煉化石アーチ
 明治25年10月竣功


 ここはアプトの道整備事業から完全に忘れられ
ている箇所ですが、ちゃんとカルバートが遺され
ていました。

 第11隧道から第16隧道までの間にはカルバー
トは存在しなかったようです。しかし、
 ・碓氷第八橋梁 24尺(7.27m)
           明治25年9月竣功
 ・碓氷第九橋梁 36尺(10.91m)
           明治25年11月竣功
 ・碓氷第十隧道 24尺(7.27m)
           明治25年11月竣功
 ・碓氷第十一隧道 24尺(7.27m)
           明治26年2月竣功
 ・碓氷第十二隧道 27尺7寸(8.39m)
           明治26年1月竣功
 と、何と5本もの煉瓦アーチ橋梁があったそうで
す。ああ…勿体なし…
 巻厚4層の煉瓦半円アーチです。
 立派な笠石をお持ちです。そして、やはり左肩
上がりです。いやあ、徹底しておりますなあ!
 コンクリ巻添は相変わらずですが、まだ比較的
原型を留めている方ではないでしょうか。
 上流側です。
 逆光で真っ暗ですな…
 何度も災禍に見舞われながらも、その都度掘
り起こされてきた…そんな感じに見えます。
 しかしそんな上流側も見事な煉瓦アーチを披露
してくれています。
 (T17)
 
碓氷第十七隧道
 574尺2寸(約174.00m)
 明治25年7月竣功


 忘れられし煉瓦隧道2本目。
 第16隧道の西側坑口と瓜二つの顔を見せる
第17隧道東側坑門。
 こちらはちゃんと貫通しています。
 いいですねえ!
 整備されたアプトの道の隧道たちと比較しても
何の遜色も無い綺麗な洞内です。
 是非ここも仲間に入れてあげてほしいですね
え。
 振り返り。
 向こうに見える第16隧道は閉塞しているので、
それは難しいですかねえ。
 やはり疲れていたんでしょうか。
 内部を殆ど撮影せず、すぐに西側坑口までやっ
て来てしまいました。
 おお!
 先程の淡泊な坑門から少し意匠的になってお
ります。
 その最大の要因は、アーチ環!江戸切りの迫
石と要石になっている所ですね!
 ピラスターにも台座が出来て、切石が使用され
ています。 
 ちと引いて。
 右側はすぐ車道ですので、気軽に見に来るこ
とは可能です。
 …いきなり実は碓氷線見せ場の一つです。
 駄目っすね…その10はリメイクしたいところで
す。

 (B13)
 
碓氷第十三橋梁
 
5連24尺(約7.27m)
 煉化石アーチ
 明治26年1月竣功


 折角の最大径間数を誇る碓氷線屈指の見所
である橋梁なのに、安直過ぎです。
 一番東側、熊ノ平側にある1つ目のアーチ。
 コンクリで巻添をしてあります。

 ここ一ヶ所だけでもかなりの径間長です。24尺
あるかもしれません。
 
 巻厚4層の煉瓦欠円アーチ。通信線用と思われ
る金具が上部に遺ります。

 …それにしても、そこかしこに虎模様が見られ
ます。ということは…
 「けたに注意」

 間違いないでしょう。一番東寄りは、かつては
車道であったと推察されます。
 とは言え、背後に道はなく、このアングルが精
一杯です。
 東から1本目の西側アーチ端部。
 迫受石があるので間違いなく欠円アーチです。
 東から2本目は切石2段で嵩上げされておりま
す。実にきめ細やか!
 アーチ内部の切石。非常に美麗です!
 小口13列、長手7列のイギリス積み風になって
おります。
 美麗なのでもう一枚。
 うーむ、これぞプロの仕事!
 反対側は小口14列なので、少し切石が小さい
ようです。で、その下はコンクリ補修…
 そう言えば、東2本目はコンクリ補修なしです。
 ありがたいですねえ!
 美麗な煉瓦アーチがよく観察できます。
 東から2本目の西側アーチ端部。
 ここも迫受石がありますが、また一段に戻って
います。で、3本目の方がまた3段に!
 面白いですねえ!アーチ一本跨ぐ度に切石2
段分左上がりに高くなっていくんですね!
 …次回はもうちょっといい写真撮りますorz

 東から3本目もアーチ内部は全面コンクリ化し
ております。
 で、予定通り?迫受石一段になり、隣東から
4本目は迫受石含めてまたまた3段になります。
 いやあ、すごい。
 フルサイズの写真からトリミング、加工しまくっ
たらおかしな写真になりました…

 で、気になるのが上部の4本の出っ張りと、天
板の切石。何でしょうか、これ?
 橋梁上の待避所?にしてはあまりにも狭い気
がします。
 これも次回まともな写真を撮りたいと思います。
 4本目もコンクリ補修を受けています。
 煉瓦部に虎模様がありましたので、こちらも車
道としての機能があったのかもしれません。
 今は反対側はコンクリの壁ですが…
 
 で、4本目と5本目の橋脚部ですが、かなり埋
まってしまっており確認できませんが、いつも通
り4本目部が迫受石のみ、5本目が迫受石と2段
の切石ではないでしょうか。
 なかなかいいアングルです(トリミングですが)
 通信専用の金具と、待避所?とアーチ環が良
い雰囲気を出しています。
 5本目もコンクリ巻添はありませんでした。
 いいすね!
 で、ここも虎模様がありますね。ここも車道?
 さっきのが西側、こちらは東側です。
 奥手に切石見えてますねえ。
 あそこ、撮ればよかった…
 5本目の煉瓦アーチ
 ここはほぼ往時の姿を留めていますね。

 辛うじて5本全ての橋梁が視認できます。見事な5連アーチ橋梁。
 是非ともアプトの道の一因に加えて頂きたいものです。
 5本目からすぐに上部に上がることができます。
 碓氷第13橋梁西側より。
 僅かに煉瓦の高欄が見えていますが、植生で
見にくいですね。
 次回は春先とかに何とか来たいですね。
 これが最後です。
 第16隧道から復活した煉瓦廃線跡ですが、
 第14カルバート、第17隧道、第13橋梁、とバラ
エティに富みながら、この第18隧道で、また新線
と一体化します。
 何度も言いますが、ここも是非アプトの道として
整備して頂きたいものです。
 (T18)
 
碓氷第十八隧道
 226尺(約68.49m)
 明治25年1月竣功


 いたってシンプルな坑門は新線トンネルに少し
食われ、坑門は閉じられておりました。

 その後も軽井沢駅まで、
 第19隧道〜第26隧道まで8本、
 第14橋梁〜第17橋梁まで4本、
 第15カルバート〜第18カルバートまで4本、
 計16本もの煉瓦アーチがあったというんですか
ら驚きです。第24隧道の一部坑門が生きていた
り、というのがあるらしいので、次回また是非訪
問したいと思います。

 私的に新規発見もできましたし、大満足な初訪
門となりました!
 …しかし、足がイタイ…